- July 18, 2009
糞をね、踏んだのだ。
や、そんな引かないで欲しい。
私の方が凹んでいるのだから。それはもう、意気消沈である。
家迄あともう少しという所で、左足で、にゅっ、と。
靴裏の隙間にぎゅるっと入り込んだ。
こんな失態は何年振りだろう。もう愕然とする。
そして輪を掛けて面倒臭い出来事が私に襲い掛かるだなんて考えもしなかった。
独りで歩いていた為、そもそもまずこの愕然振りを誰にも共有出来ない。
そうなった時点で、冷静では有るのだ。
冷静に、糞を踏んでいるというのが、またガッカリ感を煽るのだが、仕方が無い。
糞を踏んだ。それだけだ。
何かの映画のキャッチコピーの様では無いか。ちょっと高尚な感さえ有る。
まぁそんな事言っても、当の本人は以下に削ぎ落とすかに必死だ。冷静に必死だ。
こういうのを"頑固な汚れ"というのだろうな。
中々落ちないので、近くに有る親水公園で、水でこそぎ落とそうとする。
やはり水の力は凄い。
左足の頑固な汚れもほだされていった。
そして帰ろうとすると、警官達がいる。
本当に巡回をしている警官は嫌いだ。
前に自転車を乗っていて止められた時には、最近自転車でピストルを運んでいる輩がいるんでね、とか言われた。
待て待て。運び屋に見えるのだろうか。
そんな理不尽な経験ばかりだ。
勿論素知らぬ顔で通り過ぎ、さぁ家に帰ろうとした時、案の定後ろから声が掛る。
若い警官と老警官2人がいる。
がっかりだ。
別にハイハイ言って従えば良いのだが、天の邪鬼な自分はそうもいかないのが哀しい。
若「こんばんわ。」
私「ハイ。」
若「さっき、公園で何をしてたのかな?」
私「なんですか?」
此処で、本当なら「やぁさっき其処で糞を踏んじゃってぇ」なんてヘラヘラと答えれば良いのだが、口はそうは出なかった。
まぁ面倒臭い性格だ。
もうこのキャラクターからは、決して「糞がぁ」とは言えないキャラクターになっていた。
若「あ、いや、独りでいたから気になってね。」
私「いや、別に。(糞じゃってぇ)」
私「ハイ。関係あります?(そうですけど実は糞じゃってぇ)」
若「いや、ちょっと荷物見せて貰っても良いかな?」
私「え、それ、義務ですか?」
若「いや、義務とかじゃないんだけど」
もう糞とかそういうのは関係無く苛々して来た。
その上老警官がまたちんぷんかんぷんな事を言い出した。
老「それ難しそうな本だねえ。」
たまたま持っていたとある台本の上の紙の束を見て、勝手に「難しそうな本」と決め付けた。
更に仰天発言。
老「それ科学の本とかでしょう?重そうだねえ」
どこからどうみてこの老警官は、紙の部分だけ見て「科学の本」と言えるのだろうか。
ちょっと度肝抜かれた。
私「え、これなんで科学の本なんですか?」
老「や、なんとなく」
私「そういう勝手な事言うのやめて下さい。」
老「ハイ、すみません」
私「え、これ見せた方が良いですか?」
若「あ、や、大丈夫です。家、近いのかな?」
私「ハイ。」
若「じゃ、気を付けて。」
もう何だか良く判らない。
いきなり見ず知らずの警官に止められ、荷物を見せろと言われ、挙句に科学の本を持っていると言われる始末だ。
癖で勝手に苛々してしまうが、彼らも仕事なのは判っている。
独りで夜中に男が公園でフラフラしていたら声も掛けようと思うのが普通だ。
彼らにとっては夜中にフラフラしている科学の本を持った男だ。もしかしたら爆弾魔かもしれない。
只、彼らは知らないかもしれないので申訳無いが、人が凹んでいる時にいちいち人の神経を逆撫でする様な事を聴いて来るのだ。
それは苛々もしてしまうものだよ。判らないだろうが、判って欲しい所だ。
話せずじまいな夜だったが。
まぁ、正直に話せば、左足裏に爆弾を持っていたのは事実だ。
見回りご苦労様。
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Comments:4
- あかね July 18, 2009
群々お疲れ様でした。(だいぶ時間は流れましたが)
指はタイラになりましたか?これまた暗闇ならではの踏みっぷりだったのでしょうね。
先輩に突っ込ま無い若い警官殿にしっぺをお見舞いすべきですね。
neiくんの苛々が和らぐ程度に。
舞台稽古、力振り絞ってください。- 寧 July 19, 2009
指は、ぼんやりと戻ろうとしています。
まぁ警官達も仕事ですからね。
仕事、判ってはいるのですが。- おーた July 19, 2009
映画のキャッチコピーというか村上春樹
一人称が「僕」になったら完璧。まぁ彼らも仕事だからね。
それにしてもあの態度の悪さはなんとかならないのかな。
仕事なのは判るがまずはその態度を改めろと苦言を呈すと
さらに悪くなる。- 寧 July 20, 2009
彼らも仕方ないのだろう、なにせ仕事なのだから、やれやれ。
そう思いながらも「僕」は彼らの話に付合う事にした。こんな感じでしょうかね。